Home > 強制連行訴訟 > | 長野訴訟 > 長野地裁判決報告

長野地裁判決報告

本年3月10日、長野地方裁判所において、中国人強制連行強制労働長野訴訟の判決が出ました。当日は、原告である蒼欣書氏が来日しました。「主文、原告らの請求をいずれも棄却する。」。法廷は静まりかえりました。それに続けて、裁判官が判決要旨を朗読しました。声を立てる者もなく、裁判官の朗読が続きました。朗読を終えた後、裁判長は、個人的意見だと断りながら、言葉を続けました。「一人の人間としては,この事件は救済しなければならない事案だと思います。心情的には勝たせたいと思っています。しかし,どうしても結論として勝たせることができない場合があります。このことには個人的葛藤があり,釈然としないときがあるのです。最高裁の判例がある場合には,従わざるを得ません。判例を覆すにはきちんとした理論が立てられないとやむを得ません。この事案だけに特別の理論を作ることは,法的安定性の見地からできません。」という趣旨を述べました。裁判官がこのような発言をするということは他に聞いたことがありません。判決全文は380頁を超えるものであり、強制連行強制労働の事実については極めて詳細に認定しています。しかも、特徴的なのは、被告企業の責任を明確にしていることです。判決は、企業が戦時企業利潤をもたらすために主導的に関与したものだとしました。このように企業が主導的に関与したと認定した点は、被告企業の言い逃れを許さないものとして評価できます。しかし、国家無答責の法理を適用して国の責任を否定したうえ、被告企業の安全配慮義務については、これを否定しました。除斥期間についてもこれを形式的に適用し、本件においてこれを適用することは正義公平の理念に反するとの原告の主張を退けました。裁判長がこれほどの個人的意見を持っていたのであれば、原告を勝訴させるだけの理論構成はできたはずです。しかし、判決を見る限り、その努力の跡はまったく見出せません。裁判官の発言は単なる言い訳としか聞こえません。判決後、原告を伴い田中康夫長野県知事に面会を求めました。知事は、30分もの時間をとって原告の訴えを聞き、解決に向けて協力をすることを約束しました。その後、東京での報告集会、企業要請、国会での院内勉強会を行いました。東京での行動には多くの方にご協力を戴きました。この場を借りてお礼を申し上げます。今後は東京高裁に場を移しますが、県内においては、判決が明確に事実認定したことを広め、法廷外における世論の形成にも努力したいと思います。
(弁護士 村上 晃)

Home > 強制連行訴訟 > | 長野訴訟 > 長野地裁判決報告

検索
解決へ向けた取り組み
おすすめ書籍

Return to page top