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和解条項-西松訴訟信濃川訴訟

申立人と相手方1乃至5(以下,相手方1乃至5を「相手方ら」という。)は,最高裁判所平成16年(受)第1658号損害賠償請求上告受理事件において,2007年(平成19年)4月27日に言い渡された判決が,被上告人ら(上記事件被害者)の請求権は「裁判上訴求する権能を失った」とし,上告人(本件申立人)の法的責任を否定しつつも,「なお・・・個別具体的な請求権について債務者側において,任意の自発的な対応をすることは妨げられないところ,本件被害者らの被った精神的・肉体的苦痛が極めて大きかった一方,上告人(本件申立人)は前述したような勤務条件で中国人労働者らを強制労働に従事させて相応の利益を受け,更に前記の補償金を取得しているなどの諸般の事情にかんがみると,上告人(本件申立人)を含む関係者において,本件被害者らの被害の救済に向けた努力をすることが期待されるところである。」と指摘したところを踏まえ,新潟県信濃川工事事務所における発電所建設工事の作業のため強制連行された中国人183名の被害者に関して,以下のとおり解決をはかることを合意した。

第1条 申立人は,第2次世界大戦中に新潟県信濃川工事事務所における発電所建設工事の作業のため強制連行された中国人183名が苦役したのは,「華人労務者内地移入に関する件」の閣議決定に基づく歴史的事実(以下,「信濃川案件」という。)であり,申立人はこれらを事実として認め,企業として信濃川案件における被害者及びその遺族(以下,「被害者ら」という。)に対して歴史的責任のあることを認めて.深く反省し謝罪の意を表明する。

第2条 申立人は,第1条を踏まえ,相手方らに対し,前条の信濃川案件における被害者183名分の一括した解決金として金1億2800万円の支払義務があることを確認する。この金額は,被害者らに対する償い金に加え,未判明者の調査費用,慰霊・追悼のための費用,信託基金の管理運営費用等を含むものとする。

第3条 前条の金員の支払いは,前条の事業を行う主体として,当事者双方が合意した団体である相手方6・中国人権発展基金会(以下,「相手方6」という。)に対して,申立人が信託することにより履行するものとし,相手方6はこれを引き受け,相手方らもこの信託(以下,「本件信託」という。)を了承する。

第4条 申立人は,本件信託金全額を,2010年4月30日限り,相手方6の指定する下記銀行預金口座もしくは相手方6の代理人の指定する口座に送金して支払う。

銀行・支店;北京
口座番号
名義人

第5条 相手方6は,本件信託金を「西松信濃川平和基金」(以下,「本件基金」という。)として管理し,以下のとおり運用する。

(組織)

  • 相手方6は,本件基金の適正な管理運用を目的として,管理委員会を設置する。
  • 管理委員会は,相手方6から選任された15名以内の委員によって構成されるものとし,15名以内の委員の中から選出される委員長が管理委員会を代表する。なお,委員には第6条第2項の責任を負う相手方ら代理人のなかから1名以上を選任するものとする。 
  • 相手方6は,前項の委員のほかに,管理委員会に複数の監事を置き,そのうち1名は,申立人が指名する者とする。
  • 管理委員会の組織及び信託事務の詳細は,管理委員会が別に定める。

(事業)

  • 本件基金は,日中平和友好の観点に立ち,信託の趣旨に従って,被害者らに対する償い金に加え,被害者らの調査,慰霊・追悼並びに以上の事業の管理運営等の資金に充てるものとする。
  • 被害者らは,本件基金の受益者として,管理委員会が定めるところに従って,相手方6に対して被害に対する償い金の支払いを請求することができる。
    相手方6は,前項の支払請求をした被害者ら(以下「支払請求者」という。)に対して前項の支払いをするときには,本件信託金の委託者が申立人であること及び本件合意の趣旨について支払を受ける者に対して説明をし,支払請求者は,本件合意を承認する旨の書面2通を相手方6に提出し,相手方6は,そのうち1通を申立人に交付する。
    本件合意を承認する旨の書面には,信濃川案件について,今後,支払請求者が,申立人に対して,いかなる請求や異議申し立ても行わないことを明示し,相手方6は,その意味について十分に説明した上で,支払請求者の署名押印を求める。
  • 支払請求者のうち,償い金を受け取ることの出来る被害者の遺族の範囲及びその償い金の遺族間の配分額は,中国の相続法と遺族の実情に照らして管理委員会が定める。
  • 管理委員会は,本件事業の実現につき,中国内の機関,組織等と協力して,被害者らの調査を行い,本件合意の趣旨の徹底を図る。
  • 本件信託は,その目的を達したときに,本件基金設立後5年を目処として,管理委員会の決議により終了する。

終了時における残余財産の処分方法は.本件合意の趣旨に則り,管理委員会の定めるところによる。

第6条1 申立人と相手方らは,本件合意により信濃川案件について申立人と相手方らにかかわる全ての懸案が解決したこと及び相手方らが今後日本国内はもとより他の国及び地域において申立人に対する一切の請求権を放棄することを含むものであることを確認する。

2 相手方ら及び相手方代理人は,本件合意が信濃川案件の被害者183名にかかわる申立人に対する全ての懸案の解決を目指すものであることに鑑み,相手方ら以外の信濃川案件の被害者に対して,本件合意の趣旨を周知するとともに,今後,相手方ら以外の者から申立人に対する補償等の請求があった場合,第5条第7項の書面を提出した者であると否とを問わず,責任をもってこれを解決し,申立人に何らの負担をさせないことを約束する。

第7条 第3条にもとづく信託契約の準拠法は中華人民共和国信託法とする。

第8条 申立人と相手方らとの間には,本件合意に定めるほか,なんらの債権債務のないことを相互に確認する。

以上

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