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弁護団声明(福岡訴訟第1陣)

本日、福岡高等裁判所は中国人強制連行・強制労働事件につい て判決を言い渡した。本日の判決は、中国人強制連行・強制労働事件について、わが国では初めての高裁判決であり、また一審の判決が加害企業の責任を初めて 認めたものであったことから、国の内外から高い関心と注目を集めていた。

判決は、国に対する損害賠償を否定するとともに、 一審判決が認めていた三井鉱山に対する損害賠償をも否定した。一審判決を大きく後退させるもので不当な判決といわざるを得ない。我々は控訴審においても中 国人強制連行・強制労働の実態を明らかにするとともに、新たに入手した外務省の公開文書、被害者が保管していた持ち帰り金の保管証などの資料を証拠として 提出し、戦後国と企業が中国人らに支払うべき賃金も支払わず、中国人強制連行・強制労働の事実を隠蔽するためにさまざまの悪質な工作を行ってきたことを明 らかにした。外務省の公開文書によって、戦後、内閣・外務省・厚生省などの行政機関が通謀し本問題が国会で議論されないように画策するとともに、関係機関 で打ち合わせのうえ国会でも事実を否認する虚偽の答弁を繰り返すなど、卑劣な対応をとってきたことが明らかとなった。また戦後、国が一貫してその所持を否 認していたいわゆる外務省報告書も、本当は1部残されていたことが判明し、国が国会のみならず、訴訟の場においては裁判所をも欺いてきたことが暴露され た。このような事実によれば、控訴審においては、三井鉱山の責任はもちろんのこと、戦後においても悪質な行為を繰り返してきた国の責任も認められてしかる べきであった。しかるに、判決は国の責任のみならず三井鉱山の責任をも否定した。

国の責任について、判決は、強制連行、強 制労働について、国と三井鉱山の共同不法行為責任を認め、かつ、国家無答責の法理の適用についてもこれを排斥した。しかし、判決は、国の損害賠償責任につ いて、除斥期間の適用を制限するためには、被害者が権利行使が可能となって速やかに権利行使したことが必要であると判断し、中国における出入国管理法が施 行された1986年2月1日から本件提訴までに約14年が経過しており、原告らが速やかに権利行使をしたといえないとして、除斥期間の適用を認め、国に対 する損害賠償請求権は除斥期間の経過により消滅したと判示した。

三井鉱山の責任についても、判決は、国との共同不法行為責任と安全配慮義務違反を認めたものの、消滅時効の援用と除斥期間の適用を認め、三井鉱山に対する損害賠償請求権は消滅したと判示した。

判 決は、原告らに対する強制連行・強制労働の事実は認めたものの、国と三井鉱山に対する損害賠償請求権については、除斥期間と消滅時効によって消滅したと判 示した。裁判所が原告らの受けた深刻な被害を正面から受けとめず、国・企業の悪質な加害行為や戦後における卑劣な隠蔽工作などの事実を直視しなかったこと が、本日の不当な判決をもたらしたといわざるを得ない。

中国人の強制連行・強制労働訴訟が提起することができるようになっ たのは、外務省報告書の存在が公けとなって、具体的な事実が明らかとなった1990年代後半からであって、1986年から速やかに権利行使すべきであった と判示した本日の判決は、原告らが置かれていた当時の実態と本訴を提起するに至った経過を全く無視するものであって、極めて不当なものである。

た だ、本日の判決においても、原告ら中国人に対する強制連行・強制労働の事実は認定されており、また、国と三井鉱山の責任も認定されている。にもかかわら ず、国と三井鉱山が、この恥ずべき犯罪行為に対して何らの解決策も講じていないことも明白である。我々は、国と三井鉱山に対し、中国人強制連行・強制労働 の事実を認めて、被害者に対して謝罪をするとともに、その解決のための措置を講ずるよう要求する。我々は、今後も日中の友好と平和を願う多くの人々と力を 合わせて、中国人強制連行・強制労働事件の解決のために努力することを宣言する。

2004年5月24日
中国人強制連行・強制労働福岡訴訟事件
弁護団長  立木 豊地

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