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弁護団声明

2004年3月26日
中国人戦争被害者賠償請求弁護団
団長    弁護士 尾山 宏
団長代行  弁護士 小野寺 利孝
中国人強制連行・強制労働事件弁護団全国連絡会
事務局長  弁護士 森田 太三

1 2004年3月26日、新潟地方裁判所は、中国人強制連行・強制労働事件新潟訴訟に関し、加害者である国及び企業リンコーコーポレーションに対し、被害者の原告一人当たり金800万円の損害賠償を認める画期的な判決を言い渡した。

判決は、被告国と企業の安全配慮義務違反を認定した。そして、国が外務省報告書等を作成しながらその後焼却し国会などで虚偽の答弁を繰り返していたこと、 企業も事業所報告書に虚偽の記載をしその実態について何ら明らかにしなかったことは、いずれも「極めて悪質な態様」で「実質的に提訴を妨害したもの」であ ると評価した。さらに、このように極めて悪質な態様で甚大な被害を発生させた一方で、企業が国から奨励金や補償金を受け取っていたことは「はなはだ不誠 実」であるとしたうえで、時効の援用を権利濫用であるとし、国及び企業の賠償責任を認めた。

また、国と企業の共同不法行為を認定したうえで、国家無答責の法理の適用も排除した。

2 この判決は、原告らの被った甚大な被害に正面から向き合い、人間性を無視した国と企業の加害行為やその後の不誠実な態度に対し、怒りをもって断罪し、 原告らの人格の尊厳の回復をはかろうとしていることが痛切に伝わってくる。その点で、この判決は、裁判所の良心による法の正義を体現し、司法の役割を鮮や かに示した判決として、強制労働に苦しんだ中国人被害者や遺族だけでなく、この事件を支援する中国、日本の良識ある多くの人々に歓迎されるものである。

3 中国人強制連行、強制労働事件は、北海道、新潟、長野、群馬、東京、京都(大阪)、福岡、広島、長崎の全国各地で国や関係各企業を被告として闘われて いる。すでに2001年7月東京地方裁判所の劉連仁事件において戦後の国の救済義務違反を、2002年4月福岡地方裁判所において被告三井鉱山の不法行為 責任を認める判決が言い渡されている。その後も、国家無答責の法理を排斥して国の不法行為責任を認め、あるいは不法行為責任、安全配慮義務違反を認める判 決が続いている。

今回の新潟判決は、これら一連の判決の集大成であり、国と企業の不法行為責任と安全配慮義務違反を認め、国家無答責任の法理や時効の壁を克服し、また、日中共同声明等による請求権放棄・消滅を否定した。この判決の同種事件に与える影響は決定的なものがある。

4 法の正義に基づき中国人強制連行・強制労働の被害者を救済するという司法の流れはすでに定着している。今こそ、国及び企業はこれまでの司法判断を真摯 に受け止めるべきである。国と企業が一体となって強制連行・強制労働という人間の尊厳を破壊する残虐行為を行った戦争犯罪行為を正面から認め、日本に強制 連行され,強制労働させられた約4 万人の中国人労働者全員に対して、早急に謝罪と補償を行ない全面解決に踏み出すべきである。

多くの被害者はすでにこの世を去っている。それだけに、生存している被害者が命のあるうちに、被害の救済と人権の回復を図ることは国と企業の道義的、政治的な責任である。

このことは、日中両国の未来に向け真の友好と平和を築くうえで避けて通ることのできない不可欠の課題となっている。

国及び企業は,今こそ中国人強制連行、強制労働事件の全面解決に向けた政治的決断をなすべきである。

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