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原告・弁護団声明

本日、東京地方裁判所民事第25部(綿引万里子裁判長)は、第二次世界大戦中に中国大陸から強制連行され強制労働を強いられた中国人42名が、国及び企業 10社を被告として謝罪広告と損害賠償を求めていた訴訟において、加害と被害に関する事実認定すら回避し請求を棄却するという極めて不当な判決を下した。 これは2001年7月の劉連仁訴訟での勝利判決、2002年4月の福岡訴訟での勝利判決に逆行し、歴史の流れに反する不当なものである。

本件訴訟は、裁判所の頑なな姿勢で、証人を一人も採用せず、原告本人も僅か2名しか採用せず、事実審理そのものに大きな問題があった。そのために私たちは裁判官忌避の申立を行った。

今回の判決日の指定についても、昨年3月26日に結審後一年近く経ち、その間に福岡判決、広島判決、京都判決があり、また外交文書の公開によって国が外務 省報告書の存在を隠蔽し訴訟妨害をしてきたことが明らかになって、その証拠提出のために弁論再開の申立をしたが考慮されず、また、判決当日に原告を立ち会 わせるために3ヶ月前の期日指定を再三にわたり要望してきたがこれをもあえて無視し、2月7日(金)の原告からの弁論再開申立を受けて、突如として、2月 10日(月)に1ヶ月後の3月11日午前10時の判決期日指定を行った。このような期日指定は原告の立会い阻む期日指定であり、実際に一人の原告も判決を 聞くことはできなかった。このようなことは過去に例をみず裁判所の訴訟指揮は到底許されない。このような偏頗な訴訟指揮の延長線上に本日の不当な判決も存 在する。

全国の訴訟を見れば、基本的な事実認定をもとに、国の不法行為、企業との共同不法行為、国家無答責の排除、企業の安全配慮義務違反の認定、時効、除斥期間 の克服へと着実に一歩一歩前進している。2001年7月の劉連仁判決は、戦後の保護義務違反であるが除斥期間の適用を排斥して国の責任を求め、2002年 4月の福岡判決は三井鉱山株式会社の企業責任を同じく時効、除斥期間を排斥して認めた。さらに、2002年7月の広島判決は時効、除斥期間で請求権は消滅 したとしながら西松建設株式会社の不法行為責任、安全配慮義務違反を認め、2003年1月の京都判決は、同じく時効、除斥期間で請求権は消滅したとしなが ら、国家無答責の法理の適用を排除して国と企業の共同不法行為責任を認め、また日本冶金工業株式会社の安全配慮義務違反を認めた。このように、全国の訴訟 は、着実に前進し解決に向かって大きな流れとなっていた。

しかるに、本判決はこの流れに明らかに逆行し、歴史に挑戦するものである。この判決は、何の理由もなく無惨にも家族と引き離され異境の地で強制労働させら れた中国人被害者の慟哭をどのように聞いたのか。歴史の歯車に押しつぶされ戦後58年間何らの名誉の回復もなされなかった名もなき市井の民の怨念と悲しみ をどう受け止めたのか。私たちはこの判決の意味を一切認めない。このような判決にもかかわらず、正義の歴史の流れを押しとどめることはできない。歴史の動 輪は必ず前に進むものであることを確信する。

また、判決は、被告国及び被告企業の時効や除斥の主張を認めており、「正義、衡平の理念に著しく反する」結論となっている。福岡訴訟で、被告企業の奴隷労 働を認定し、被告企業の時効援用や除斥の主張を「正義、衡平の理念に著しく反する」として明解に退けたことと比較しても、批判は免れない結果となってい る。

ただ、判決は、被告国に対する関係で、京都大江山判決に引き続き、第日本帝国憲法下においては国家の権力的作用に対して損害賠償請求を認める法制度がな かったという、いわゆる国家無答責の適用を『現時点においては「国家無答責の法理」に正当性ないし合理性を見いだし難いことも原告らが主張するとおりであ る」として同法理を排除している。この点については本判決の積極性を見出すことができるものである。

今回の判決は、不当な強制連行の事実、原告らの絶え難い奴隷労働の事実及びこれらの強制連行・強制労働が国策に基づきなされた具体的な事実を一切認定しな かった。しかし、その歴史の事実を誰も否定することはできない。被告国と被告企業は、早急に、謝罪と損害賠償金を支払い、この強制連行労働問題を全面解決 するよう要求する。

原告弁護団は、一連の戦後補償事件の早期全面解決を求める中国をはじめとする内外の世論と運動を力にして、新たな気持ちで東京高等裁判所での勝利をめざすとともに、強制連行・強制労働事件を含めて戦後補償事件の全面解決を勝ち取る決意である。

2003年3月11日
中国人強制連行・強制労働事件第二次訴訟原告弁護団
団長   弁護士 高橋 融
事務局長 弁護士 森田 太三
中国人戦争被害賠償請求事件弁護団
団長   弁護士 尾山 宏
幹事長  弁護士 小野寺利孝

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