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弁護団声明

2009年3月27日
弁護団声明

中国人強制連行強制労働宮崎槇峰訴訟弁護団
弁護団長  成見 幸子

1 本日、福岡高等裁判所宮崎支部は、中国人強制連行強制労働事件について 判決を言い渡した。
本日の判決は、一審の宮崎地裁判決が「強制連行強制労働の事実自体は永久に消え去るものではなく」「その歴史的事実の重みや悲惨さを決して忘れてはならない」「道義的責任あるいは人道的な責任という観点から、この歴史的事実を真摯に受け止め、犠牲になった中国人労働者についての問題を解決するよう努力していくべき」としたこと、また、その後最高裁も同様の解決提言を行い、これを受けて、福岡高裁本庁も解決を促す所見を出していたことから、国の内外から高い関心と注目を受けていた。

2 しかるに本日の判決は、国および企業の損害賠償責任を前記最高裁判決と同様に、不当にも、サンフランシスコ平和条約および日中共同声明によって原告らが裁判上訴求する権能は失われたとした。しかし、この解釈はそもそも従来の政府見解と異なっており、何より相手国である中国外交部(外務省)もこれに異を唱えているのであって、全く不当な解釈である。但し、注目すべきは、判決は、裁判上訴求する権能が失われたとするものの、被害者ら個々人の実体的請求権まで失われたとは述べていないことである。

加えて、判決は、一審判決同様、詳細に原告らが受けた強制連行・強制労働の歴史的事実を認め、「暴力や脅迫・欺罔によって控訴人邵らの意思を制圧し、かつ、身体の自由を奪って行われた強制連行であった」(判決書22頁)、「労働条件ないし環境(衣・食・住も含む。)も劣悪・過酷であり、威嚇や暴言、暴力などにより控訴人邵らの意思を制圧し、かつ拘禁・監視状態の下で行われた強制労働であった」、「甚だ人道に反し、控訴人邵らの人格権(人間の尊厳)を著しく侵害するものとして…強度の違法性を有する」とした(判決書23頁)。そして、判決言い渡しに際して裁判長は、「事案が人道に反する深刻なものである」、「関係者の道義的責任は免れない」、「平成19年4月27日の最高裁判決および福岡高裁の和解勧告にも示されたとおり、和解によって解決すべきと判断して努力してきた」、「今後とも関係者の和解に向けた努力を祈念する」という重要な所感を述べた。

3 このように、中国人労働者や遺族の受けた犠牲を償うことが国家・企業の責務であることは、もはや明白である。この問題の解決を求める声は国際的にも高まりを見せつつあり、放置することは許されない。

 にもかかわらず、国と三菱は、この恥ずべき犯罪行為に対して何らの解決策も講じていない。とりわけ国は、控訴審において終始裁判所の解決努力に対して背を向ける態度をとって、解決の意思を持つ三菱を押さえる役割を果たしたものである。

4 我々は、国と三菱に対し、中国人強制連行・強制労働の事実を認めて、被害者に対して謝罪をするとともに、本日の判決における所感で述べられたとおり、その解決のための措置を講ずるよう要求する。

我々は、今後も日中の友好と平和を願う多くの人々と力を合わせて、中国人強制連行・強制労働事件の解決のために努力することを宣言する。
 

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