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全国弁護団声明

1 6月28日,札幌高等裁判所第3民事部(伊藤紘基裁判長)は中国人強制連行強制労働事件北海道訴訟について,控訴を棄却する判決を言い渡した。

本判決は、本年4月27日の西松建設最高裁判決後の初めての高裁判決であり、その内容が注目されていた。

本判決は、控訴人ら中国人を強制連行・強制労働をさせた行為について、「被控訴人国の本件閣議決定及び本件次官決定において取り決められた中国人移入の施 策及びその実施の細目に基づく一方的な措置によって・・・各事業場において,人格の尊厳と健康の保持が困難となるような劣悪な環境の下,その意思に反する 重労働を強いられ,多大な精神的損害を受けた」。これは「少なくとも条理に悖るという意味において違法であることは疑いないものといわねばならない。」と 明白に認定した。そして,日本国と加害企業の加害事実と控訴人(原告)ら一人一人の被害事実を認定しており、その点は評価できる。また、国家無答責の原則 を検討した部分では、日本国の関与の実態に触れ、閣議決定・次官決定と実施細目の策定,日本軍や運輸通信省が関与して設立させた華北労工協会・日華労務協 会の存在、同協会と企業との中国人移入契約の厚生省による慫慂,大東亜省による中国人労働者の企業への供給,内務省,厚生省,軍需省による治安指導等、本 件事件が何よりも日本国の主導によって行われたことを正しく指摘した。

しかしながら、本判決は、本件事件が本質的に国家によって行われたことを認めながら、国家無答責の法理により請求を棄却し、また企業との関係では、企業に安全配慮義務がありうると認めながら、時効によって請求を棄却したものであり、極めて不当な判決である。

また、言及しておかねばならないのは、西松建設最高裁訴訟の弁論期日が決まるや、一旦指定した判決言渡し期日を取り消し「最高裁の推移」を見てから判決を 言渡すとして期日を一方的に延期し、西松建設最高裁判決が出たあとに、同判決について控訴人らの主張陳述の弁論を保障するよう要求した控訴人らの申し入れ に対してはこれを拒否し、一方的に判決言渡し期日を指定し判決を行ったことである。このような訴訟指揮は、司法の独立を損ない、最高裁に盲目的に追随する 余りに露骨な姿勢というべきであり、国民主権に由来する司法権の任務を放棄するものである。

2 しかし,本判決にもかかわらず,中国人強制連行強制労働事件の解決の必要性はいささかも失われない。4月27日,最高裁第2小法廷は,同種事件である 西松建設訴訟事件で、日中共同声明により個人請求権は裁判上訴求する権能を失ったものの,実体的権利は消滅しないと判断し,強制連行・強制労働の事実関係 を認め,個別具体的な請求権についての債務者側の任意な自発的な対応に言及し,被害者らの精神的・肉体的な被害の甚大さと,企業側の獲得した様々な違法利 益を考慮すれば,当該企業を含む関係者において被害者らの被害の救済に向けた努力を行うことを期待すると付言した。

そうであれば,北海道訴訟の被告である企業6社と日本国は,この事件を一刻も早く解決する責任がある。日本国は中国人強制連行強制労働という国家犯罪を画 策,実行した主犯として,また,企業はこれに共同荷担して過酷な被害を加え,中国人労働者らを強制労働に従事させて戦時利潤を得,更に,終戦直後には中国 人労働者の使役により損害を被ったと称して多大な補償金を日本政府から取得した者として,その責任を免れることはできない。

3 本判決においても、控訴人ら中国人に対して行われた強制連行・強制労働の事実は明確に認定されており、その強制連行・強制労働は、本判決ですら国家が 行った犯罪行為(不法行為)であること、企業にはその不法行為責任だけでなく安全配慮義務違反もあることを認めざるを得なかった。

私たちは,中国人強制連行・強制労働問題の最終解決に向け,国と加害企業が正義の道理にしたがって行動に踏み出すことを強く要求するとともに,さらに被害者と連帯し,また国内外の支援者と共に最後まで闘うことを改めてここに表明するものである。
以上

2007年7月1日

中国人戦争被害賠償請求事件弁護団
団長   弁護士 尾山   宏
団長代行   弁護士 小野寺 利 孝

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