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弁護団声明

1 本日、東京高等裁判所第1民事部(江見弘武裁判長)は、中国人元「慰安婦」2名(控訴人)が、日本政府に謝罪と賠償(各2300万円)を求めた裁判において、控訴人らの請求を棄却する極めて不当な判決を下した。

2 本判決は、控訴人らが、1942年から43年にかけて、中国山西省盂県において、日本軍の兵士らによって組織的に拉致・連行され、監禁状態下で繰り返 し性暴力を受け、筆舌に尽くしがたい肉体的及び精神的苦痛を被り、それによりPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状を呈した実態を詳細に認めた第一審 判決を維持した。

3 原判決は、本件のような行為も戦争行為に付随する行為として国家無答責の法理を適用したのに対して、本判決は、本件のような行為が、「何らかの法令、 規則又は軍の命令に基づいて行われたものではないし、非戦闘員(一般市民)であった控訴人郭らを連行して長期間監禁し、繰り返し性暴力を加えたという残虐 非道なもので」あり、戦争行為・作戦活動自体又はこれに付随する行為ではないとして、国家無答責の法理の適用を排斥し、中華民国民法上も日本国民法上も、 不法行為に基づく損害賠償請求権の成立を明確に認めた。あわせて、ヘーグ陸戦条約及びヘーグ陸戦規則等の国際法に反することも明確にした。

4 本判決は、1952年に締結された日華平和条約に基づいて、損害賠償請求権の放棄を認定した。

これは長年にわたる日中間の友好関係の基礎をなしている日中共同声明を無視し、その基本関係を揺るがすものである。日華平和条約締結当時、すでに中華人民 共和国政府は、台湾以外のほぼすべてを実効的に支配しており、以後中華人民共和国政府は一環して、日華平和条約は無効であり中華人民共和国政府はこれに拘 束されないと明言し続けてきた。日華平和条約締結当時、すでに建国宣言をして3年が経過している中華人民共和国政府の下で生活していた控訴人らの損害賠償 請求権が日華平和条約により放棄したと解することはどう合理的に説明しようとしても不可能である。

また、本判決は「除斥」を理由に請求を棄却しているが、「除斥」を克服してきた近時の判決の傾向に逆行する極めて不当な判決である。

5 日本政府は、「慰安婦」とされた被害者らに対して自ら「痛切な反省」と「心よりのお詫び」を表明しているが、真に謝罪の意思があれば、本判決が認めた 事実と国家無答責を排斥されたことを謙虚に受け止め、控訴人のみならず「慰安婦」とされたすべての中国人女性に対してすみやかに謝罪し、名誉回復と賠償を 行うべきである。このことは、「慰安婦」とされた被害者らの人権を救済するとともに、現在かならずしも良好とはいえない日中関係を好転させ、平和的かつ友 好的な日中関係を築き上げることに寄与するものである。

6 私たちは、本判決の結論に断固抗議し直ちに上告するとともに、本判決で認められた事実を前提として、控訴人らを含む「慰安婦」とされた中国人被害者らに対する日本政府による謝罪、名誉回復、賠償の実現を求めて最後まで戦い抜く決意である。

2005年3月18日
中国人戦争被害賠償請求事件弁護団
団長 尾山  宏
中国人「慰安婦」裁判事件弁護団
団長 大森 典子

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