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海南島性暴力被害者を訪ねて

(2001年6月)

2001年6月、弁護団は海南島へ調査に行き、加茂川という川傍の藤橋というまるで日本の地名のような場所にあった慰安所跡を訪ねた。その後原告となる八 人の方たちに会い、丸2日に渡って聴取をした。少数民族で文字がなく「譚(タン)さん、黄(コウ)さん…」と音に中国字を当てた名前を名乗る女性たちで あった。皆、若い頃はさぞ愛らしかったのだろうと思わせる容貌と、70才をいくつも超えた今も話し方や身なりに女性らしい雰囲気を漂わせる方たちだった。 聴取が当時のことに及ぶと、話はまるで昨日のことのように生々しく私たちにも映像として伝わってくるようだった。また記憶に封印をしてきたような残虐な場 面について質問が及ぶと「なぜそんなことを聞くのか、そんなことを聞かれて私がどんな気持ちでそのことを思い出し語らなければならないか、人間なら分かる だろう」と涙ながらに訴える姿にも接した。「尋常でない悲惨な出来事がどれほど鮮明に記憶されているかを明らかにすることで、心の傷の深さを裁判所に伝え ることができます」と説明した我々も質問するに忍びない思いであった。また、慰安所を逃げ出したために地面に刀の刃を上向きに置いてその上で腕立ての姿勢 をさせらる罰を受けたという女性は、「あのとき泣きながらさせられたことをこの年になってまた再現しなければならないなんて…」と涙をうかべてそのときの 様子を示してくれた。暑い中での長時間の聴取を終わったとき、少数民族で言葉では通じ合えない女性たちがそばに来て「私たちが死んでもかわりにきっと戦っ て欲しい(通訳による)」と話しかけてきた。海南島を発つ飛行機から島を見たとき、この島の中で彼女たちが耐え続けた時間が確実に存在したこと、そしてお そらくあと何年かのうちにすべての記憶を一緒に墓場へ持っていってしまうだろう女性たちに出会ったということを重く感じずにはいられなかった。(弁護士  杉浦ひとみ)

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