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毒ガス1次東京高裁判決を受けて 

第1次・遺棄毒ガス・砲弾訴訟の控訴審判決が、7月18日、東京高等裁判所で言い渡されました。この1次訴訟の一審判決は、国に合計約2億円の支払 いを命じる被害者らの全面勝訴で、国が控訴したため、高裁で3年にわたって審理が続けられ、今回の判決を迎えました。来日していた被害者の李臣さんと孫文 斗さんの見守る中で判決が言い渡されましたが、まさかの逆転敗訴判決でした。判決は、国の戦後の不作為(放置行為)の違法性について、国がある具体的な行 為をしてさえいれば事故を防げたという「高度の蓋然性」が必要であるとしたうえで、本件ではそのような「高度の蓋然性」は認められないとしました。一審判 決は、「できるだけ多くの場所で、できるだけ発見されにくい方法で遺棄・隠匿し、関係の書類も焼却して、それで年月がたてば、遺棄兵器が存在する場所を具 体的に把握することができなくなって、結果回避の可能性がなくなり、作為義務も認められなくなるというような考え方は、採用できない。」と判示して結果回 避の可能性を認めましたが、本件判決は、まさにこのような考え方にのっとったもので極めて不当なものです。判決後の李臣さんと孫文斗さんの落胆ぶりは見て いられないほどのものでした。上告して今後は最高裁でこの判断を争うことになります。

他方で、この判決には異例ともいえる3頁にわたる付言がつけられています。そこでは、「化学兵器が人類の良心に反し、文明世界の世論の正当な非難に耐えな いものであることを確認するものであること、毒ガス兵器等による生命、身体に対する被害が極めて重大で、重篤なものである」ことの原則を確認した上で、本 件毒ガス事故の被害者らが被った被害者に補償をしないことが正義にかなったものとは考えられないし、さらには今も多くの被害者がでていて、日本政府により 全体的かつ公平な被害者救済措置が策定されることが望まれる、とも述べられています。この付言には、日本政府は中国に残した毒ガス弾の処理を約束してい て、それが実行される前に被害がおこったのだから、これへの救済は公平にきちんとおこなえ、とも述べています。チチハル事件の被害者には、日本政府は不十 分ながらお金をだしています。今回の原告たちには何の補償もありません。そして、この判決文の付言では「将来におこるであろう被害」にも言及し、その補償 もきちんとしなさい、とまで述べています。

今後は,引き続き最高裁での法的解決を求めていくほか,被害者に対する医療支援・生活支援なども含めた政治的な全体解決に向けての闘いも進めていくことになります。(弁護士 藤沢整・編集部)

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