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731部隊・南京大虐殺・無差別爆撃事件訴訟 東京地裁判決要旨

〔主文〕

  1. 原告らの本件各請求をいずれも棄却する。
  2. 訴訟費用は原告らの負担とする。

〔事案の概要〕(略)

〔判決の理由〕
1、原告らが日本軍から非人道的な加害行為を受けたことがおおむね認められる。当時日本が中国で行った軍事行動は、独断的かつ場当たり的に展開拡大推進さ れたもので、中国国民に対し弁解の余地がない帝国主義的、植民地主義的な侵略行為にほかならない、真摯に中国国民に対して謝罪すべきで、民族感情の融和を 図るためにさらに最大限の配慮をすべきことはいうまでもない。

1、「南京虐殺」の内容、規模は厳密に確定することができないが、仮に「虐殺」が一万、二万で、組織的なものではなく、ナチスの組織的なユダヤ人虐殺行為 (ホロコースト)とは全く異なる「通例の戦争犯罪」であったとしても、「南京虐殺」があったこと自体はほぼ間違いがない。

1、七三一部隊はソ連および中国の軍事裁判で実態が追及され日本軍人の責任が問われた。七三一部隊の存在と人体実験などが行われていたことは、疑う余地がない。

1、国際法上、外国による戦争被害の損害賠償問題は、被害が個人に発生したものであっても、一般的に個人が直接外国に対して損害賠償を求める権利はなく、国家間の、戦争の外交交渉によって決めるべきものである。
原告らの「国際法に違反して外国人に対して違法行為をした加害国家に被害者個人が直接損害の回復を求める権利はないと断定できるのか」、「戦争という大量 かつ広範囲の権利侵害に対する法的救済措置として、個人による加害国家に対する請求が考えられないのか」という問題提起は貴重。論理的には「個人による加 害国家に対する請求が考えられない」ということはあり得ない。人類全体のより大きな正義にかなうものであればその実現のために、たとえ個人の市民法的レベ ルの正義を犠牲にする結果となっても、交戦当事国への損害賠償は戦後の国家間の平和友好条約などの締結で一括処理するほかない。五十年以上も前に終結した 戦争被害についての原告らの請求は、一面の正義のみを性急に求めるもので、容易に採用することはできない。

1、一九○七年のハーグ陸戦条約は文理解釈、立法過程の論議、その実行状況などを総合勘案しても、個人の交戦当事国に対する直接の損害賠償請求権まで規定したとは認められない。
加害行為が「国家人道法」「国家人権法」に反することをもって、個人が非人道的行為をした交戦当事国に、直接損害賠償を求める権利を有する、という国際慣習法が確立しているとは認められない。

1、当時の中華民国法による不法行為に基づく損害賠償請求権を適用することはできない。 法例にいう「不法行為」には、戦争行為に起因する個人の損害に係わる外国私法上の不法行為は含まれていなかった、と解するのが相当である。

1、当時の日本軍、日本軍人の中国および中国国民に対する戦争行為、軍事行動、虐殺行為などに係わる損害補償などの問題は、基本的に戦争の国家間の平和条 約の締結によって処理するほかない外交問題、政治問題というべきである。日中国家間においては、七二年の共同声明および七八年の平和友好条約によって、 「中国政府は中日両国民の友好のために、日本に対する戦争賠償の請求を放棄すること」が合意されている。
原告らは、中国国民が個人として有する損害賠償請求権まで放棄したものではないと主張するが、この点に関しても、すべて国家間の外交によって決するほかない。

1、加害行為がいかに非人道的であり、それに対する補償を受けられないことが、市民レベルにおける正義を犠牲にするとしても、当時の国際法およびわが国の法制上、原告らが戦争被害について、直接損害賠償を求める法的権利は認められない。
さらに、再度の戦争を極力回避しなければならないことが至上の命題であれば、個人の損害賠償請求権がみとめられないことにも合理性が認められ、かえって、その方が人類全体のより大きな正義にかなうと考えるものである。(99.9.22)

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