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駐日大使への要望書

2007年3月7日
駐日本国中華人民共和国特命全権大使
王 毅  閣下

拝啓 時下ますますご清祥の段お慶び申し上げます。
さて、去る1月15日、日本の最高裁判所は中国人強制連行事件・西松建設訴訟の上告審弁論を3月16日に開催する旨を決定しました。 これは被告企業・西 松建設が広島高等裁判所判決を不服として上告した、その申立理由のうち、「日華平和条約・日中共同声明等による請求権放棄」の部分を受理したことによるも のです。 この最高裁決定に関して、日本のメディアは、「中国人側、逆転敗訴へ」(1.16「朝日新聞」)、「原告勝訴を見直しか」(1.16「毎日新 聞」)などと報道しました。確かに、日本の最高裁が弁論を開催する場合は、下級審の判決を「見直す」場合か、憲法判断を示す場合に殆ど限られており、その 意味ではメディアの報道には一定の根拠があると言わなければなりません。

私たちは、この最高裁決定に強い憤りと懸念を表明します。 西松建設訴訟・広島高裁判決は、被告企業が強制連行・強制労働を行った事実、安全配慮義務に違 反した事実を認定した上で、被告企業の安全配慮義務違反に係る時効援用の主張、日中共同声明によって個人請求権は放棄されたとする主張等を退けて、被告に 対し損害賠償支払いを命じました。この判決は1990年代以降に起こされた一連の戦後補償裁判の中では、画期的な意義を有する判決であり、国内外で高く評 価されました。

この広島高裁判決を最高裁はいま「見直そ」うとしているのです。 しかも、その理由が「日華平和条約・日中共同声明等による請求権放棄」と言うのです。  このような判断が出されたならば、強制連行・強制労働のみならず、戦時性的強制被害、遺棄毒ガス弾被害など中国人戦争被害賠償訴訟の請求すべてが棄却され てしまうことになりかねません。 絶対に認めることはできません。

また、今回の最高裁決定は、戦争被害に係る賠償請求についての、貴国政府の従来からの主張・立場とも全く相容れないものであると思われます。 1995年 3月、銭其?外相(当時)は、全国人民代表大会において以下のように答弁されました-「中国の公民が賠償請求するのは個人の利益だ。政府としては阻止も干 渉もしない」「(『中日共同声明』における賠償請求権の放棄については)これには個人賠償は含まれていない」。 駐日中国大使館ウェブサイトでは、「中日 関係の諸問題」として「(五)戦争賠償問題について」をあげ、この中で、遺棄毒ガス弾(兵器)、「慰安婦」、強制連行などの問題に関し、「中国政府は人民 の正当な利益を擁護する観点から、日本側に真剣な対応と善処を要求しています」との見解を公表されています。 また、中国人元「慰安婦」裁判(第2次)に おいて東京高等裁判所が「(原告の損害賠償請求権は)日華平和条約で消滅している」との理由をもって請求を棄却(05年3月)したことに対し、中国外務省 は遺憾の意を表明しています。いずれも貴国国民の戦争被害に関する個人請求権を認め、それを擁護するものです。 最高裁決定は、この中国政府の立場を踏み にじるものではないでしょうか。

さらに、今回の最高裁決定は国際労働機関(ILO)の日本の強制労働問題に関する意見(勧告)に背くものです。ILO条約勧告適用専門家委員会は、 1999年いらい7回にわたって日本の戦時下における企業の強制労働問題を取り上げ、これを強制労働禁止条約違反であると認定し、日本政府に被害者救済を 勧告してきました。 本年の報告書においても、「本委員会は、(日本)政府が直ちに、その数が年とともに減少し続けている被害者たちの請求に応える措置を とることを希望すると断固として繰り返す」と述べています。 日本国憲法第98条第2項は、条約・国際法の遵守義務を規定しています。 日本政府はILO 勧告を受入れ、履行する義務があるのです。 ところが、政府のみならず司法までもがこれに違反する行為をなそうとしているのです。 貴国政府はILOの理 事会を構成され、ILO諸条約・勧告の履行・適用状況を監視する立場に立っておられます。 その立場から見て、日本政府・司法の条約・勧告無視の姿勢につ いてどのように評価されるでしょうか。

私たちは、強制連行被害者をはじめ多くの戦争被害者の権利回復、救済を実現するため、長い間裁判を中心に様々な運動に取り組んでまいりました。 しかし、 問題解決を見ないままに、被害者は高齢化し、亡くなっていく方も後を絶ちません。 私たちは、何としても被害者が生きているうちに謝罪と補償を実現しなけ ればならないとの思いを募らせながら運動を進めております。

このような被害者の状況と私たちの気持ちを充分におくみ取り頂き、3月16日の最高裁判所弁論を控え、貴国政府及び閣下が従来からとってこられました立場を堅持し、適切なご対応をとって頂きますようお願いを申し上げます。
敬具 

(要請者)
強制連行・企業責任追及裁判全国ネットワーク
共同代表 永村 誠朗  持橋 多聞
中国人強制連行を考える会
代表  田中  宏   
花岡裁判支援連絡会議

新潟港に強制連行された中国人被爆者張文彬さん
の戦後補償裁判を支援する会 
共同代表 小野坂 弘  伊藤 岩 
中国人戦争被害者の要求を支える会
代表   井上 久士 (他)
中国人強制連行・劉連仁裁判勝利実行委員会
委員長  永村 誠朗 
中国人戦争被害者の要求を支える会京都支部
代表   福林  徹 
中国人強制連行「長野訴訟」支援連絡会
代表   花岡 邦明
中国人戦争被害者の訴訟を支える長野県の会
会長   池田 錬二 
酒田港中国人強制連行を考える会
代表   佐藤 匡子(他)  
中国人慰安婦裁判を支援する会
代表   西野 留美子

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