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(チチハル)全身にわたる神経被害―医師証人尋問―(10月19日)

 10月19日は、神経内科の橘田亜由美医師の証人尋問も行われました。主尋問の担当は佐藤香代弁護士です。むずかしい内容をわかりやすくかみくだいた尋問がなされました。概要を書きます。

神経系統別の症状についての詳細な説明

(1)感覚神経……毒ガス被害は患部だけの神経だと思っていました。しかし、大脳・小脳にも障害があることがわかりました。皮膚のびらん面の異常感覚だけではなく、全身に異常感覚が広がっています。手足の先端、右半身に異常感覚がある人もいます。化学物質が血流を通って全身に回っているのです。
(2)運動神経……握力検査では、普通は5回までは握力は低下しないのです。しかし、5回検査をしなくても握力の低下がみられました。もともと握力が低いのです。
(3)自律神経……自律神経というのは副交感神経ともいわれ、血圧をさげたり、脈拍数を調節したりします。血圧異常の人が多くいました。涙が少ないドライアイの症状もみられました。その他では、発汗の異常、頻尿、インポテンスについても自律神経の関連だと考えられます。自律神経障害がでにくい若い集団で多くのデータが得られたのです。
 これらの診察から、毒ガス被害後に症状が出たということから考えれば、毒ガスが全身に回っておこったと考えるのが妥当です。さらに回復可能性ですが、永続的にこの症状が続くと考えられます。 
(4)高次機能障害……被害者の多くは短期記憶障害と判断されました。毒ガスの成分が大脳に侵入したと考えられます。また、ものがゆがんで見える、実物より小さく見えるなどの視覚障害もみられました。これらは大脳性の障害です。脳の広範囲にケミカルな物質がはいったということです。
  分類不能の障害……中国語で胸悶(シュンムン)と言われています。少しの労働で発汗し、胸がドキドキしてしめつけられるように感じ、苦しくなって動けなくなる症状です。神経障害の一環だと考えられます。いろいろな自律神経を小さなストレスや刺激することでおこります。疲れやすい、力が出ないという易疲労性です。
 仕事ができない、というのは疲れやすいなど自律神経障害、短期記憶障害と考えられ、被害者の訴えと診断した結果を総合的に判断して自律神経障害と診断してよいと考えます。被害者は医療的ケアをうけていないので、診察で症状を軽減できるので医療保障はぜひとも必要です。
 このあと、国側代理人による反対尋問がありましたが、些末な細かなことを聞くだけでたいした内容はありませんでした。

「みんな黒に見えます……」于景芝さんのビデオ上映

最後は今回来日できなかった于景芝さんのビデオ上映です。于さんは自宅の庭を整地しようとして、毒ガス被害にあいました。今年6月に于さんの自宅で撮影したものです。激しく咳が頻繁にでている様子、食欲がでない状態、ベットの上でずっとすごす状況などがリアルに示されました。この中で于さん自身からの「入院した方が良いといわれるが、お金がないので家で寝ているだけ」「頭痛がして、頭がしめつけられるようだ」という言葉が印象的でした。また、ベットの上での検査の様子も映し出されました。色覚異常の検査では、何度も見ていると皆「黒」く見えることがわかりました。また、ベットの上にあるものを取ってほしいと言われて、手をだしますが、空をとってしまうという状況も示されました。
 裁判終了後、会場を弁護士会館に移しての報告集会がおこなわれました。会場ぎっしりの方が集まり、熱気に包まれた集会になりました。冒頭、原告の楊樹茂さんから「裁判では、言いたいことを言えました。皆さんの支援に感謝します」とあいさつがありました。橘田先生からは「神経内科医が毒ガス被害者を調査した国際的にもありません。于さんのビデオは画期的だと思います。目でみて、被害の実際が現場でわかるものでした。国側の反対尋問は想定していたよりもレベルが低く些末なことばかりでした」と感想が述べられました。小野寺弁護士からは「裁判体が新政権にどう対応するのか注目したいと思います。日中関係を高めていこうという政治判断があると思います。私たちはセオリー通り、国民的世論を高めて、裁判闘争をすすめ、国の責任を追求していきたいです」と話されました。前回証人尋問にたった藤井先生は「2006年に検診した時に、内科だけでなく神経内科の検診の必要を直感的に感じました。その直感から橘田先生の登場となりました。大学教授で毒ガス被害には神経障害はない、という人がいます。この人に反論したいという思いもありました」と発言があり、若い参加者からも「昨日、韓国から帰ってきましたが、韓国でも人権活動をしている人がいました。日本でもこのようにたくさんの人が支援していることを知り、私も何かやらなければ、と思いました」「夏に新聞で大久野島の記事を読みました。そこでつくったものが中国で被害者を出している、ということで心にくるものを感じました。歴史認識をきちんともっていきたいと思います」などという声がだされました。

国側代理人に怒り爆発


 午前の尋問がおわった時、原告代理人の小野寺弁護士が立ち、発言をしました。国側代理人の一人が、本人尋問中、何度も居眠りをして真面目な態度でいなかった、ということを厳しくただしました。この代理人は、これまでも原告の陳述などで居眠りをしていることが何度も傍聴人から確認されています。常習犯です。被害者が血のにじむようなつらい体験を話しているのに、この態度はなんだ、ということで、傍聴人からも怒りの声があがっていました。本当にまじめにやってほしいです。
 
 

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