Home > All連帯 > | 強制連行全国ネット > 2009年ILO条約適用勧告専門家当委員会個別所見(仮訳)

2009年ILO条約適用勧告専門家当委員会個別所見(仮訳)

日本
強制労働条約、1930年(29号)(批准:1932年)

1. 以前のコメントで、当委員会は、第二次世界大戦中の性奴隷制(いわゆる「慰安婦」問題)と産業奴隷制の問題を検討した。当委員会は、これらに関連して、条約の歴史的違反に関するその権能の範囲に関する以前の考察を参照する。2006年に、当委員会はその所見で、年月の経過とともにその数が減りつづける生存被害者の請求に応えて、政府が早い時期に措置をとること希望すると断固(firmly)として繰り返した。当委員会は、さらに政府に対して最近の司法判断すべてと関連する事態の進展に関して通報を続けるよう求めた。2007年の所見では、当委員会は、さらに、労働組合からのコミュニケーションに応えるように政府に求めた。

2. 当委員会は、政府の2008年7月10日、9月1日、10月17日に受領した報告並びに10月10日と18日付けの電子通信による情報を注記する。


労働組合から受け取ったコメント
3.2008年には、当委員会は多くの労働組合からさらに詳しい情報を得た:
全造船機械労組 (2008年5月25日と8月21日付);
東京地評(2008年5月27日と8月20日付);
全日本港湾労働組合名古屋支部 (2008年5月25日と6月2日付); 
韓国労働組合総連盟(韓国労総)と韓国民主労働組合総連盟 (民主労総)(2008年8月付); 
重工業労働組合(日本)(2008年8月25日付); 
名古屋市教職員労働組合 (2008年8月26日付);
愛知ユニオン聖母の家支部 (2008年8月25日付); 
国際労働組合総連合(ITUC) (2008年9月2日付);
日本労働組合総連合会(連合)(2008年9月17日付)。

政府がコメントしたく思った場合を考慮して、これらのコミュニケーションのコピーは政府へ転送された。当委員会は、これらのコミュニケーションに対して2008年11月19日に受領した政府の回答を注記する。

4. 労働組合からの上記コミュニケーションは, とりわけ、戦時強制労働の被害者が求める請求に関する係争中の裁判事例の状況に言及している。 当委員会は、東京地評から通報された情報により、2008年7月31日の時点で、上訴裁判所にそのような未決の事例があったことを注記する。これらの事例のすべてについて、下級裁判所は請求を棄却した。いずれも時効や国家無答責などの手続き的な理由か、あるいは戦後の条約やコミュニケが理由であった。
新潟事件を含む2つの事例では、上告を退ける最終判決が、日本の最高裁判所によって2008年7月に出された。それは、各被害者に800万円の補償を与えるとした2004年3月26日の新潟地方裁判所の原告に有利な判決が出た事例であったが、その後その判決は2007年3月14日に東京高裁によって覆された。

5.当委員会は2008年8月20日付けの東京地評のコミュニケーションで指摘した情報を注記する。それによると福岡高等裁判所で係争中の事例の一つで法廷は2008年4月21日に強制労働についての裁定を下し、その中で、被告の一員としての日本政府を含めた関係者に和解と友好的な請求の解決を求めるように勧告した。 全日本港湾労働者組合名古屋支部は、2008年6月2日付のコミュニケーションで、日本政府と三菱重工を相手取って戦時産業強制労働の韓国人被害者が起こした訴訟について最高裁に和解と友好的な解決を求める勧告をするように要請書を提出したことを報告した。これは2007年5月31日の名古屋高裁の判決で解決を勧告されたにも関わらず日本政府が応じなかった後にこの要請書を提出したものである。

6. 労働組合からのコミュニケーションはまた、軍隊性奴隷の問題に言及したが、これは幾つかの国連機関が取り上げているためである。特に2008年5月(A/HRC/8/44(パラグラフ60))に採用された普遍的定期審査のワーキンググループ(国連人権理事会)の勧告の形で取り上げられており、国際自由権規約における2008年9月に提出された政府の第5回目の定期報告に関連して国連人権当委員会(CCPR/C/JPN/Q/5)の問題リストに載った問題の一つとしても取り上げられ、また2007年5月に拷問及び他の残虐な非人道的なもしくは品位を傷つける取扱い又は刑罰を禁止する条約のもとで日本政府が提出した第一回報告についての考察に関連して国連拷問禁止当委員会の勧告(CAT/C/JPN/CO/1, 12節24節)の中でも取り上げられている。

7.労働組合からのコミュニケーションはまた数カ国の議会で採択された軍隊性奴隷制問題について日本政府に更なる措置をとるように呼びかける動議や決議に言及した。これらには、次のものが含まれる:2007年11月20日にオランダ下院で満場一致で採択された決議;2007年11月28日にカナダ下院で採択された動議291;2007年12月13日に欧州議会で採択された慰安婦のための正義についての決議の共同動議があり、さらに日本の宝塚市市議会で2008年3月25日に採択され、東京都の清瀬市で2008年6月25日に採択された決議はそれぞれ政府に対して問題の歴史的真実を調査し、明らかにせよ、被害者の尊厳と正義を取り戻せ、彼女らに補償をせよ、そして一般庶民にこの問題について教育せよというものだった。

政府の回答

8. 当委員会は政府が、2008年9月1日に受領した報告書で、2008年5月31日現在、まだ13件の軍事性奴隷制および戦時産業強制労働の被害者による請求が日本の法廷で係争中(1件と12件)と指摘したことを注目する。 その報告によると、2006年6月1日から2008年5月31日の間に、裁判所はこれらの問題に判決を言い渡した。具体的には3件の慰安婦裁判(最高裁で2件、地裁レベルで1件)そして17件の徴用労働訴訟(最高裁で7件、高等裁判所で5件、そして地裁レベルで5件)についてである。 政府はさらに次のように表明する:
「これらの全ての事例では、法廷は国内法と戦争関連の問題を解決するための協定を含む国際法に従って日本政府に対する補償請求を却下した。」

9.当委員会は2008年9月1日に受領した報告と2008年10月10日と18日の電子コミュニケーションでなされた政府の指摘を注記する。
慰安婦問題に関しては、1993年8月に当時の河野洋平官房長官が政府調査の結果について述べた談話で表明した政府の立場は変わっておらず、それはこの問題についての政府の現在の立場を代表し続けており、新首相の麻生太郎氏もまたこの談話への支持を表明したばかりである。この談話の一部を引用すると次のようになる。
「いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。。。
また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。。。 」

10. 当委員会は、政府が上記の国連機関からの勧告に対して行った回答やコメント並びに2008年9月1日に届いたその報告書の文面から次のことに注目した、
戦時産業強制労働と軍事性奴隷の生存被害者の要求にこたえるための非法規的な措置と彼らの期待に応えることに関して、政府は、1995年に始め、2007年3月31日に解散するまで継続したアジア女性基金(AWF)とそれに関連した活動に重い、ほとんど独占的な重要性を置いている。そしてアジア女性基金は被害者に対して認めた道徳的責任を満たすために取ることを考えた政府の唯一の措置であるように見える。 当委員会は2001年と2003年の所見で、元慰安婦の大多数がAWFの金を政府の補償と見なかったので償い金を拒否したことやその金を受け取った少数の女性に総理大臣が送った手紙を政府が責任を受け入れたわけでないとして拒否した女性がいたことなどは、これが被害者の大多数の期待に応えるものでないことを示唆していると述べたことを想起する。それ故、当委員会は政府が生存被害者と彼らを代表する組織と相談して、彼らの期待に添えるような方法で被害者に補償する代りの方法を見つけるための努力をして欲しいとの希望を表明した。
当委員会は、これに関連して2006年9月26日に受領した政府報告の中で、2007年3月のAWFの解散に触れて、政府は「被害者との一層の和解を求める努力をするつもりである」と述べていたことを想起する。

11. 当委員会は、被害者との和解を求めるためのさらなる努力をする際に、政府が、近い将来に、年老いた強制労働の生存被害者が訴えている請求に応える措置を取ることを望む。 当委員会は、さらに最近の司法判断および関連する進展に関する

情報を提供し続けることを政府に要求する。
 

Home > All連帯 > | 強制連行全国ネット > 2009年ILO条約適用勧告専門家当委員会個別所見(仮訳)

検索
解決へ向けた取り組み
おすすめ書籍

Return to page top