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中国の対日抗議デモ―日本の報道はおかしくないか

四月に入り毎週末三度にわたって大規模な日本への抗議デモが、中国の諸都市で起こった。マスコミで大々的に取り上げられているので、日本の多くの人が関心をもったり心配したりしている。

だがこの問題についての日本のテレビ、新聞、週刊誌の報道の仕方、取り上げ方はあまりに表面的、一面的ではないだろうか。日本の在外公館に中国人がおしか け、石やペットボトルなどを投げ込む場面をくり返しながす、デモがおきたのは中国の愛国主義教育の結果であると解説し、中国政府に謝罪と賠償を求める、あ るいは「中国という国はもともと」とか「共産党独裁の社会主義国家というものは」などと一般論からいきなり今日の事態を説明しようとする、こういった論調 が大勢を占めているようだ。

もちろん在外公館に危害を加えたり、ましてや何の関係もない日系スーパーや日本料理店を破壊することが許されないものであることは言うまでもない。しかし ちょっと待ってほしい。今回の事態の根源は、中国の愛国主義教育にあるのだろうか。中国や韓国のたび重なる申し入れにもかかわらず、小泉首相は靖国神社参 拝を強行してきた。侵略戦争に無反省なばかりか、戦争はやむを得ない選択であったかのように記述する歴史教科書を検定合格させ、従軍慰安婦記述が減ったこ とはよい傾向だと文部科学大臣が言う。戦争被害者への補償は解決済みであるとして冷淡な態度をとり続ける。こうした日本側の「愛国無罪」と言わんばかりの 態度の蓄積こそ、中国でデモがおこった根本的理由なのだ。中国の多くの人びとは日本がどうかそうした態度をあらため、過去の戦争を本当に反省してもらいた い、そのうえで仲良くやっていきたいと望んでいるのである。

かつて日本が中国を侵略したときも、日本は「お宅を侵略しますよ」と言って侵略したわけではない。在留邦人の生命と財産を保護するためとか、日本の正当な る権益が不当に侵されようとしてるとか、無法な中国に反省を促すためとか言いながら侵略したのである。それが可能となったのは、当時多くの日本人が中国は やはり無法な国だと思っていたからだ。今また中国は無法な国だというイメージがまき散らされている。歴史の教訓は生かされねばならない。(井上久士)

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