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日本外交の隘路

7月5日の北朝鮮のミサイル発射から15日の国連安全保障理事会での決議にいたる一連の動きは、小泉内閣の外交の行き詰まりをはっきりと示した。確かに北 朝鮮のやり方は乱暴で、国際的ルールを無視しており、北東アジアの緊張を激化させる挑発的行為ではある。しかし麻生外務大臣がはからずも「金正日に感謝し なければならない」と口走ったように、日本のタカ派の政治家のねらいは、これを利用して日本の軍拡と北朝鮮だけでなく中国敵視政策をさらに鮮明にしようと するところにあった。

日本政府は、珍しく早い対応をした。武力行使を含む強制措置を定めた国連憲章第7章を含む安保理決議案を作り、制裁のない決議なら全く意味がないという態 度を表明した。安倍官房長官らのねらいはこういうことだった。強硬な決議案を提出し、中国に拒否権を行使させるようにする、そうすることで中国は北朝鮮の 仲間であり、支持者であり、平和の敵であることを世界にアピールできるというわけだ。決議案の可決など二の次だったのだ。

しかしこのもくろみは見事に失敗した。中ロが非難決議案を提出し、英仏も国際的一致が重要という態度を示すなかで、アメリカも態度を変えた。日本はそれを見てあわてて第7章に関する記述を削除、ようやく全会一致で可決されたというわけだ。

中国は武大偉外務次官を平壌に送り、アメリカはヒル国務次官補を北京に送った。これに対し日本は強硬論をぶちあげ、敵基地攻撃論をもちだしたが、北京に特使を送ることもせず、日本の決議案は結局腰砕けに終わった。

はじめのころ中国脅威論はとらないと言っていた小泉内閣だが、いつの間にかアメリカをも凌ぐネオコン内閣になってしまったようだ。こうなったのも靖国神社 参拝に固執し、中国との首脳会談もできないような状況を作り出した小泉首相に大きな責任がある。中国をはじめアジア近隣諸国との信頼関係再構築こそが今本 当に求められているのだ。(井上久士)

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