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第18回:非典

まったく世の中何が出てくるかわからないものだ。新型肺炎SARSはその好例だった。今春中華圏を中心に世界中で猛威をふるったSARSを中国では非典 (非典型肺炎の略)とよんでいる。6月中旬の現在、ようやく中国でも沈静化したようだ。このまま消滅してくれるのを願いたい。

3月に台湾に行った折、地下鉄で多くの乗客がマスクをしているのが目についた。世事に疎い私は、最初「台北も最近は花粉症が多いんだな」と勝手に思いこん でいた。感染者はいたが、まだ死者は出ていなかった段階である。中国本土より衛生に注意しているように見えた台湾だったが、5月になって非典はさらに拡大 し、今では80人以上の死者を出している。

北京の知人からの便りでは、4月、5月はほとんど外出することができず、毎日家で時間をもてあましていたということだ。地方都市でも、「北京から来まし た」とでも言おうものなら、タクシーも乗せてくれない有様だそうだ。もっとも非典を逆手にとってひと商売している抜け目のない人もいるようだ。毛沢東がマ スクをして「非典とたたかおう」とよびかけているTシャツを売っている商人もいたりする。ニューヨークの9・11テロの時、アメリカの愛国熱に便乗して、 星条旗をアメリカに売りまくって儲けたのは中国人だった。さすがである。

ところで非典が人々の不安を高めたのは、2、3月の段階で感染経路や治療法、そしてウイルスが不明だったこともあるが、中国当局が情報を十分公開せず、被 害を過少に公表していたことにある。自己に不利な情報でもまずわかっている事実を明らかにして、対策を講ずること、これは中国の非典でも日本の歴史問題で も共通である。わざわいを転じて福となす、中国がよりオープンな社会になる一契機となることを望みたい。(井上

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