Home > 中国こぼれ話 > 第15回:国営商店

第15回:国営商店

中国人は商売上手だとよく言われる。私は、「日本人とは」とか「中国人の性格について」などといったいわゆる民族性論には非常に懐疑的なのだが、たしかに中国人が商売に熱心なのは事実だ。

改革開放政策がとられて以後、個人経営・民間経営の商店や飲食店がつぎつぎと生まれた。今や国営商店よりそちらの方が主流になったと言っても過言ではない状況だ。

20年ほど前、中国各地をはじめて訪れ、店員の横柄な態度に驚いた。店員はモノを売ってやる、客は買わせていただくという感じであった。客がいても店員同 士でおしゃべりをしていたり、新聞や雑誌を読みふけっているのが普通だった。商品を投げてよこすなど当たり前のことであった。「人民に奉仕する」というの がこんなことなら、日本資本主義のサービス精神の方がずっとましだった。

店員にやる気がなかったのは、考えるにふたつの理由がある。ひとつは需要に比べて商品の絶対量が圧倒的に少なかったことであり、もう一つは売れようが売れ まいが自分の収入に関係なかったことである。だから消費物資がしだいに出まわりはじめ、個人経営が拡大すると状況が変わってきたのだ。もともと商才にたけ ていた中国人は、ふたたび熱心に(ときには違法行為をおかしてでも)、商売するようになったというわけだ。

数年ぶりに観光都市の西安に来てみたが、個人経営のみやげもの店はどこも熱心に商売している。ふらっと、陝西省文物商店という立派なかまえの国営商店に 入ってみた。青銅器や兵馬俑のイミテーションなどを売っているのだが、エアコンのきいた店内に客はひとりもいない。唯一の客である私は存在しないかのごと く、店員は互いに話をしているか、本を読んでいた。腹立たしくもあり、なつかしくもあった。(西安にて・井上久士)

Home > 中国こぼれ話 > 第15回:国営商店

検索
解決へ向けた取り組み
おすすめ書籍

Return to page top