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第9回:トイレの話

1970年代のころ、私は当時市ヶ谷にあった防衛庁防衛研修所戦史室に日中戦争の史料を見にしばしば通った。今は恵比寿に移った防衛研究所戦史部の前身で ある。昼休みに別棟の職員用の食堂に行き、ついでにそこのトイレに寄るのがきまりのパターンであった。そこの大便用のトイレは、個室にはなっているものの ドアの上下が大きくあいていて鍵もなかった。ドアは前後どちらにも開くようになっていて、高さは五十センチほどであっただろうか。要するにしゃがんで用を 足していると、外からほとんど丸見えなのである。軍隊とはこういうものなのかと、当時20代の私は軽いカルチャーショックを覚えた。

「中国はよいけれど、トイレがちょっとねえー」などと言う人がいる。たしかに中国の公厠(公衆トイレ)は個室にさえなっていないものが多い。のちに中国に 行って、市ヶ谷の自衛隊を思い出した。おかげでカルチャーショックを受けずにすんだ。 どうして個室にしないのか。いろいろな中国人に聞いたが、答えは人 によってまちまちで、どうもよくわからない。なかには、「トイレを密室にしないのは、政治的な落書きをされないためさ」などと言う人もいたが、はたして本 当だろうか。

しかし最近は近代化のおかげで、こうした個室のない、超きたない伝統的な公厠は改善されつつある。プライバシー(隠私権)という概念も社会にだんだん根付いてきた。都会や観光地に多くある5角か1元払う有

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