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第4回:中国の風俗業界

北京や上海など中国の大都市の夜は、ここ10年ほどでずいぶん明るくなってきた。80年代の初めの頃、「中国の夜は本当に暗い」という思いを抱いたものだが、それが明るくなったのはよいことだ。

それにつれて毛沢東主義の呪文によって封じ込められていた「牛鬼蛇神」(妖怪)もとび出してきた。数年前わが弁護団の方々と北京に行った時も、宿泊してい た王府井にある一流ホテルの周辺にそれとおぼしき女性がたくさんいて、積極的に話しかけてくるので、外出するたびに閉口した記憶がある。

中華人民共和国ができて売買春などは違法行為として取り締まられ、50年代後期には根絶されたと言われてきた。かつて新中国には蠅もどろぼうも売春婦もい ないと言う人もいた。それが改革開放政策につれて復活してきた。80年代はじめ広東省など南方の沿海開放都市から目立つようになり、次第に全国に広がって きた。

彼女たちは概して組織的であるようだ。その背後に黒社会(やくざ組織)がある場合も多い。中国人の友人に聞くと、そのような女性はたいてい地元の人ではな いという。つまり地方都市や農村部から非正規に流入してきた人で、もちろん北京や上海や広州など都市の戸籍をもっていない。だから組織的にならざるをえな いとも言える。人口の流動化がすすんできたが、都市と農村、大都市と地方都市の経済格差はなお大きく、むかしながらの戸籍管理制度もなくなっていない。そ のうえ総じて市場経済化がすすんで拝金主義的風潮が存在する。そのようなはざまで彼女たちは雑草のように存在しているとも言えようか。

もちろん中国の風俗産業すべてが売買春にかかわっているというわけではない。普通の健全なスナック、クラブ、ディスコ、ダンスホール、カラオケボックス、 サウナ、マッサージハウスなどもたくさんある。むしろそのほうが今でも一般的だと思う。しかしこうした店の一部やホテル、レストラン、美容院などの一部に 売春を斡旋したり、その手の女性がいることもあるということのようだ。 だからといって中国は「清潔な」毛沢東時代に戻ることもできないし、戻るべきでは ないだろう。(井上久士)

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